番外編その5. 追悼ポール・ニューマン

2008-09-28

Tag :

昨日俳優のポール・ニューマンが亡くなったというニュースを読んで、ああ、ついに来たかとガックリきました。 年も年だし、ガンで闘病中との事だったので悲しいニュースもそんなに先のことではないだろうなと思ってたんですが、何事にも終わりは来てしまうんですね。

偶然だか急遽番組を変更したのか、昨晩映画「ハスラー」が放映されているのを見ましたが、やっぱりポール・ニューマンいいですねえ。 ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべ相手を挑発する姿が、ちょっと下品なチンピラ風で例えようもなく似合ってます。 彼の演じた"ファースト・エディ"と凄腕の"ミネソタ・ファッツ"は物語の最初と最後で2度対決しますが、冷徹なプロの世界を生きる男たちの心の動きを描いて秀逸です。 ジョージ・C・スコット演じる賭博師のバートも抜群の存在感でした。

「ハスラー」の"ファースト・エディ"、「暴力脱獄」の"クールハンド・ルーク"、彼はあだ名が似合う強烈な個性を持っていました。 「タワーリング・インフェルノ」では自ら設計した超高層ビルが、そびえ立つ地獄へと化す中で消防隊長のスティーヴ・マックイーンと共に戦い、「動く標的」ではゴミ箱に捨てた出がらしを拾い上げてもう一杯コーヒーを入れる私立探偵を演じ、「明日に向かって撃て!」「スティング」では天下の男前ロバート・レッドフォードと共演してもまったく霞むことなく、常に強い印象を残してくれました。

何度もアカデミー賞にノミネートされながら初めて主演男優賞を受賞したのは86年、マーチン・スコセッシ監督の「ハスラー2」ですから遅すぎたくらいです。 僕も確かテレビで見ましたが、「ハスラー」ほどの強烈な印象は残念ながら受けませんでした。 それでもスコセッシが彼にオスカーを獲らせるつもりで撮ったとすれば嬉しいんですが。 それにしても数々の映画で色々な思い出を残してくれたスターがまたひとり去ってしまうのは、本当に寂しいものだなあ。


ハスラーハスラー 1961年
オープニングからいきなり一昼夜を超える息詰まる勝負が始まる、ポール・ニューマンの代表作。 意地と意地が火花を散らすハスラーの戦いを描いて、モノクロの画面とBGMのジャズがまた渋いんです。

「ロック・ウィズ・ユー」 マイケル・ジャクソン 1979年

2008-09-27

マイケル・ジャクソンのモンスターアルバム「スリラー」は、なんと1億枚を超えるセールスを記録してるんだそうで、まさに世界的規模で"一家に一枚"状態の信じられない売り上げです。 しかしここをピークに子供時代のジャクソン・ファイブからスター街道を歩んできたマイケルはこれも信じられない凋落振りで、今や何でこうなるの?と嘆きたくなる惨憺たる有様ですね。 まわりがワイワイ言うだけで本人がどう思っているかは知りませんが、同い年のマドンナが鍛え上げた肉体で世界ツアーを順調にこなしているのに比べると、なんだか可哀想にも思えます。

「スリラー」ほどではありませんが、それでも2,000万枚も売れた「オフ・ザ・ウォール」を発表した頃の彼は明るく生き生きとしていて、音楽の才能に恵まれた若者という印象でした。 このアルバムからは4曲もの全米トップ10ヒットが生まれましたが、その中でも僕のお気に入りは極上のポップチューン、「ロック・ウィズ・ユー」です。 まずはイントロでシンプルだけど心地のよいリズムを刻むドラムスとギターがたまりませんね。 サビの部分もハデに盛り上がるわけではないけれど、要所要所にここはこの楽器でこのメロディーでという風に、ブラスやストリングス・手拍子やコーラスなど最高のパーツを最高の形で配しているのが素晴らしい。

何といってもブラック・ミュージック界の大物クィンシー・ジョーンズのプロデュースによるところが大きいのだと思いますが、優しい声だけど強く歌うと少し割れるところがカッコいいマイケルのボーカルを最大限に生かすアレンジがいいですね。 アルバムのコンセプト作りに始まって作詞・作曲は誰でアレンジャーは誰にと、全体の指揮を執るプロデューサーのセンスが如何に重要かというのがこのアルバムで良く分かります。 今のマイケルは人前に出るのがイヤになってしまったのなら仕方がないけど、才能が錆付いてしまったわけではないと思うので、ツアーはやらなくてもいいからもう一回アルバム(ベストアルバムじゃなくてね)だけでも作ってみたらどうでしょう。


オフ・ザ・ウォール マイケル・ジャクソンオフ・ザ・ウォール マイケル・ジャクソン
巨匠クィンシー・ジョーンズのプロデュースで、良質なポップスやソウルがいっぱい詰まった傑作。 この頃はまだ音楽が大好きな黒人青年という感じでした。 今の彼は見るのが辛い。

「70年代思い出の名曲」でおすすめしたアルバム Vol.4

「君をのせて」 沢田研二 1971年

2008-09-20

Tag : 沢田研二

先日NHKのSONGSで沢田研二が「君をのせて」を歌っているのを見ていたら、なんだか知らないけど先月放送されたドラマ「阿久悠物語」を見たときもそうでしたが、ちょっとウゥっとなってしまいました。 認めたくないけど年のせいなのかハートが弱ってるのか、たぶん両方なんでしょう。 もともと小柄な彼が太ってしまってる上に、赤みがかった金髪ですからこれは如何なものかと思いましたが、ジュリーも還暦なのでひょっとしたらロックンロール・スターらしい白髪隠しかもしれませんね。 相変わらずの発声でサビの部分へと盛り上がる一番おいしいところ、 ♪ 粋な粋な歌を歌い ああ~ああ・・・ と歌う彼は、見た目など二の次で格好良かった。

ザ・タイガースを卒業してソロ第1作の「君をのせて」は、作曲が「宇宙戦艦ヤマト」やザ・ピーナッツの「恋のバカンス」で有名な宮川泰、作詞はこの人誰だったかなと思ったけど僕が知らなかっただけで、実は超大物の岩谷時子(君といつまでも・恋の季節・男の子女の子、など)です。 71年発表のこの曲は、あらためて聴いてみるとシンプルで静かだけど、ひとりで歩き始めたスターの門出を飾るに相応しい名曲だなと思います。 若い頃の彼は手を伸ばしてちょっと泣きそうな顔で歌う姿がかっこよくて、まあ女の子がキャーキャー言うのも無理はありませんね。

何かと批判の多いNHKもこのSONGSには力が入っていて、毎回豪華なセットに大物を呼んで音楽ファンを楽しませてくれます。 今回のナレーターが気に喰わないことがあると乱暴狼藉をはたらく癖のあるM平さんだったのがちょっと気に喰わなかったんですが、「その時歴史が動いた」同様、この人のナレーションは安定感がありますね。 次回も沢田研二のPart2で楽しみですけれど、オフィシャルサイトを覗いてみたらスターらしからぬ手作り感たっぷりのサイトでした。 新作「ROCK'N ROLL MARCH」の作家陣にはザ・タイガース時代の同僚岸辺一徳や森本太郎が名を連ねているのがなんだか嬉しくて、次回の放送は彼らも共演するようなので、ますます楽しみです。


TOKIO 沢田研二TOKIO 沢田研二
グループサウンズが生んだ最大のスター、沢田研二が最高に乗っていた頃の傑作。 「危険なふたり」や「時の過ぎゆくままに」などの歌謡ポップスの名曲を経て、ビジュアルでも他を圧倒して更に進化しました。

「70年代思い出の名曲」でおすすめしたアルバム Vol.4

「ドント・ルック・バック」 ボストン 1978年

2008-09-15

Tag : ボストン

自宅のスタジオに籠もりっきりであーでもないこーでもない、細部に渡って自分のお気に入りのサウンドを追求して作り上げたデビュー・アルバム「幻想飛行」が大ヒットした究極の凝り性、トム・ショルツが名門マサチューセッツ工科大学を卒業してポラロイドへ入社したのはボストン・ファンなら皆さんご存じだと思います。 ロックといえばなんとなく叩き上げや成り上がりのイメージがありますが、育ちが良くて頭も良くて、さらに音楽の才能がある奴も世の中には当然いますよね。

初めて彼らのアルバムを聴いたときは、ああ、なんと気持ちのいいギターサウンドかと一発で気に入ってしまいました。 単にBOSSなどの市販のイフェクターをギターとアンプの間に繋いだからといってあんな音が簡単に出せるわけもなく、かっこよく歪んでなおかつ温かみのあるディストーション・サウンドは素人バンドにはちょっと不可能ですね。 アルバム発売までにはどえらい時間をかけたはずですが、典型的な文系の僕には芸術的センスを兼ね備えた理数系の頭脳が羨ましくて仕方ありません。

さて、「幻想飛行」をさんざん聴いたら次作への期待は当然高まる訳ですけれど、爆発する惑星から脱出したギター型の巨大な宇宙船が辿り着いたのは、水晶のような鉱物が緑の大地からそそり立つ未知の惑星でした。 ただしその惑星で彼らが奏でる音はどこかで聞いた事のある音で、これは前作からの正常進化と言っておきましょう。 ヒットしたタイトル曲「ドント・ルック・バック」はボストンのファンなら安心して楽しめる曲で、ただちょっと物足りないなという感想があったのも事実です。

友人の中にはまったく前と一緒だから二度と買わん!という奴もいましたが、セカンド・アルバムまではまあいいかと思った僕も、3枚目の「サード・ステージ」はまたもや同じような音と内容でちょっとコケそうになってしまいました。 セカンドから8年も経ってようやく発売された待望の新作がほとんど変わってなかった訳ですから。 彼らの音は大好きだし、最初の完成度が高すぎたんだから仕方ないといえばそれまでだけど、8年周期で到来する彗星みたいなボストンの新譜はそれなりに輝いてるので、忘れた頃に思い出して楽しむのにはいいかもしれませんね。


ドント・ルック・バック ボストンドント・ルック・バック ボストン
凝りに凝って練りに練り上げた緻密なギターサウンドをさらに追求して、名盤「幻想飛行」と並ぶ傑作が出来上がりました。 もちろん前作に続きシンセサイザーは一切使っていません。

「70年代思い出の名曲」でおすすめしたアルバム Vol.4

番外編その4. 映画の記憶

2008-09-07

Tag :

最近はまったく映画館に行かなくなってしまって、たまに深夜のテレビで昔の名画を放送しているのを見て「そういえば若い頃はよく映画を観たなあ」などと感慨に耽ったりしています。 それもこれも便利だけど味気ないシネマ・コンプレックスが増えてきたのとマナーの悪い観客に嫌気がさしたせいか、それになんと言ってもわざわざ見に行きたいと思える映画が少なくなったのが最大の原因でしょうか。 実際は面白い映画もあちこちで上映されているのに、以前ほど好きなものや楽しいものを探し歩くことに情熱を注がなくなったせいだったらちょっと寂しいけど。

新作の映画もすぐにDVDで発売されるので自宅でゆっくり楽しめばいい、という方もたくさんいらっしゃるかと思いますが、やっぱり映画は映画館で観るものだという信念を昔は持っていて、暗がりのシートに身を沈めて大画面と大音響のスクリーンに酔いしれるのが最高の楽しみのひとつでした。 だけど学生時代を過ごした大阪の街の映画館マップも今ではすっかり変わってしまって、堂島にあった名画座の大毎地下劇場はとうの昔になくなってしまったし、梅田のOS劇場や三番街シネマ、東映パラスも閉館してもはや全滅状態です。 街並みが変わっていくのは仕方のないことですが、記憶ごと消えてしまうような気がするのは感傷的過ぎるでしょうか。

就職して東京へ行ってからはますます音楽熱とともに映画熱も加速して、そりゃあ地方出身者にとって文化の中心トーキョーは宝の山みたいな場所ですから。 閉館ギリギリの時期に行った銀座(だったと思う)のテアトル東京の湾曲したでかいシネラマスクリーンと、ゆったりと配置された大型の椅子には感銘を受けました。 池袋の文芸坐(現・新文芸坐)や銀座の並木座も閉館しちゃって、そういえば最近名画座やリバイバルという言葉がそもそも死語になりつつあるようです。 荒井由実作詞・作曲の"「いちご白書」をもう一度"の歌詞の世界は、若い人にはピンとこないだろうなあ。

70年代の初めから80年代の初めにかけて観た映画には今でも印象に残っているものが多くて、ひとつひとつ挙げればキリがありません。 大ヒットした映画のほかにも鮮烈に記憶に残っている個人的名作がいろいろあって、「レオン」の元ネタとなったジーナ・ローランズ主演の「グロリア」や、超能力者の戦いを描いたデヴィッド・クローネンバーグ監督の「スキャナーズ」、ウィリアム・ハートが先祖返りしちゃう「アルタード・ステーツ」、それから異色のヤクザ映画「竜二」など、ああ、やっぱりキリがない。 映画の話は気長にぼちぼち取り上げていきたいと思います。


グロリア 1980年グロリア 1980年
ジョン・カサベテスとジーナ・ローランズ、夫婦コンビの傑作。 当時はオバハンのハードボイルドとして話題になりました。 こんなカッコイイおばさん見たことない。 それにしてもリメイク版「グロリア」は悲惨だった。

Google Ad.




プロフィール

Author:music70s
1957年生まれ。
福岡県在住です。

カテゴリ

最新記事

最新コメント

シンプルアーカイブ

リンク

ミュージック・スタイル

音楽関連サイトリンク集
音楽関連サイトリンク集 MUSIC-STYLE

J-Total Music

無料歌詞検索エンジン

バンドスコア

ベスト・オブ・アメリカン・ロック【ワイド版】

RSSリンクの表示

ご訪問ありがとうございます。

My name is Nipper.

♪ Life is very short and ...