「バック・イン・ザ・サドル」 エアロスミス 1976年

2008-10-31

ロックバンドのボーカルをやる奴っていうのは基本的に出たがり目立ちたがりで個性とパワー溢れる人が多いのが当たり前で、ヴァン・ヘイレンのデヴィッド・リー・ロスやエアロスミスのスティーヴン・タイラーなんかはその典型じゃないでしょうか。 アンプを通した大音量の楽器に負けずに歌うのは大変で、素人バンドだとギターやベースはまあまあだけどボーカルがどうもなあ・・・というのはよくある事です。 その点プロのそれも一流ボーカリスト達は頼れるものはマイクと己の肉体だけにもかかわらず、まあ元気のいいこと。

スティーヴン・タイラーは一度見たら忘れられないあの顔と、よく喉がつぶれないものだなあと感心する特徴のある声、それからステージ映えのするアクションでロックスターの資質十分です。 彼らの評価を決定づけた4枚目のアルバム「ロックス」はエアロスミス史上最もかっこいいジャケットに負けない内容で、特に最初の曲「バック・イン・ザ・サドル」は何回聴いても緊張感あふれるギターとドラムスのイントロからいきなり炸裂するスティーヴンのボーカルがロックな気分を最高に盛り上げてくれます。

ボーカルとギター2本、ベースとドラムスのハードロックをやるならこれだ! という編成が生み出すサウンドはまさに分厚い音の洪水、こういう曲こそ大音量で聴かなきゃ損ですね。 なんと言っても印象的なリフが素晴らしくかっちょいいけど、バックの演奏に乗ってステージ狭しと駆け回るフロントマンがいると、他のメンバーもますますノッてくるんじゃないでしょうか。 70年代前半、ブリティッシュ・ロックが全盛を極めていた時期から70年代の後半アメリカのロックが巻き返しを始めた頃に飛び出したエアロスミス渾身のナンバーは、やっぱり強力なボーカルがいてこそ成り立つ名曲でした。


ロックス エアロスミスロックス エアロスミス
メンバーの離散を経て見事に復活を果たしたアメリカン・ロックの大物エアロスミスが76年に発表した名盤。 オープニングの緊張感あふれるヘヴィーなナンバー「バック・イン・ザ・サドル」でノックアウト。

「ハード・ラック・ウーマン」 キッス 1976年

2008-10-24

Tag : キッス

昭和30年代に生まれた僕たちの世代には、ビートルズやストーンズ、レッド・ツェッペリンやディープ・パープル、ピンク・フロイドなどの超大物たちが揃いも揃って英国産だったこともあって、洋楽ロック入門はイギリスのバンドからという方が多いんじゃないかと思います。 アメリカのロックが全盛期を迎えるのは少し遅れて70年代の後半、エアロスミスやキッス、それからイーグルスやドゥービー・ブラザーズなどのウェストコースト・ロックの人気が高かった頃でしょうか。

ツェッペリンがアメリカに上陸した頃はグランド・ファンク・レイルロードがライブで孤軍奮闘という感じでしたが、同じライブでも徹底的にショウ・アップしたアメリカ人受けしそうなステージで大人気だったのが元祖ヴィジュアル系ロックバンドのキッスです。 もちろん見た目だけではなくて実力もあったからこそレコードも売れてたわけで、代表作「Destroyer(地獄の軍団)」で大ブレイクを果たします。 シンプルで分かりやすいロックンロールが彼らのキャラクターにピッタリだったんですが、ヒットした「ベス」のようなバラードも収録されていました。

その「ベス」を歌ったドラムスのピーター・クリスが次のアルバム「Rock and Roll Over(地獄のロック・ファイアー)」で歌った「ハード・ラック・ウーマン」、個人的にはこちらの方がよりアコースティックな雰囲気でなんとも言えず好きですね。 ダミ声の一歩手前くらいまでしわがれたピーターのボーカルがメンバーの中では一番ユーモラスなネコ・メイクとのギャップもあって、イントロのギターと共に印象に残っています。 ベースばっかり目立ちやがって、俺にも歌わせろ!くらいの気持ちもあったのか、彼はその後キッスを脱退してしまいました。

その一番目立っていたベースのジーン・シモンズが、大ベストセラー作家マイクル・クライトンが監督した映画「未来警察」に出演してたのを見ましたが、なかなか悪役が似合ってサマになってました。 この人は最近公開された人気漫画の実写版?「デトロイト・メタル・シティ」にも出演したんだそうで、こういう漫画や映画が支持されるってことはロックが若者の中に流れる血を刺激するのは今も昔も変わらないということで、喜ばしいことじゃないでしょうか。 わざわざ映画見に行こうとは思わなかったけど。


地獄のロック・ファイアー キッス地獄のロック・ファイアー キッス
徹底的にロックンロール・ショウを楽しませてやるぜという姿勢が立派。 サービス精神と実力を兼ね備えたキッスが絶頂期に発表してプラチナ・レコード(100万枚以上)を記録。

「セプテンバー」 竹内まりや 1979年

2008-10-18

9月になったら竹内まりやの「セプテンバー」を書こうと思ってたのにあっという間に10月も半ばになってしまいましたが、今月発売のベストアルバム「Expressions」が予想通り売れているので、ちょっと遅くなったけどやっぱり「セプテンバー」です(正しくは英語表記で"September"ですね)。 確かデビュー当時は慶応出のお嬢様歌手というような売り方をしてたと思います。 学年で言うと僕より三つ上なんですが、お目々パッチリでちょっと大きめの前歯が可愛い女の子だとないう印象でした。

この曲はそんな彼女の外見や上品な雰囲気にぴったり合ってましたが、林哲司のポップなメロディが爽やかな印象を与えるものの、松本隆の詩をよく読んでみると9月と共に訪れる別れを歌った曲なんだなということに気が付きます。(普通は一回聴いたらすぐわかるでしょうね。) 歌詞の中に「借りていたDictionary 明日返すわ」というところがあって、これは想像するに大学生活の後半、ちょっと大人っぽくなった3回生か4回生くらいの恋なのかなと。 「一番淋しい月」と歌うくらいだからよっぽどつらい恋ですね、これは。

夏の終わりはいつも寂しいものですが、爽やかなはずの9月が心変わりした彼との恋が終わる季節になってしまったという曲を、竹内まりやがあの声でポップに歌うものだから最初は別れの歌だとは感じ難いんだと思います。 だけど彼女の声には爽やかだけどどこか切ない響きがあって、そこが微妙な季節の9月に絶妙に馴染んでるんじゃないでしょうか。 続く「不思議なピーチパイ」でこのまま上品なアイドル路線を歩むのかと思ってたら、そんなところに収まりきれない才能を持っていた彼女はその後数々の名曲を生み出します。 やっぱり竹内まりやはいいなあ。


Expressions 竹内まりやExpressions 竹内まりや
デビューからもう30年も経つけど、全体に漂う育ちの良さや品の良さは変わりようもありません。 爽やかだけどちょっと切ない歌声で名曲の数々を歌い上げます。 達郎はじめスタッフにも恵まれてますね。

「オール・アロング・ザ・ウォッチタワー」 ジミ・ヘンドリックス 1968年

2008-10-11

約10年ほど前にフルオープンではありませんがタルガトップという屋根がパカッと外れる車に乗っていた時期がありまして、あれはなかなか気持ちの良いものです。 どの季節がいいかと言うと理想的なのは桜の並木道かこれからが盛りの紅葉の山道、それから意外なことに一番気持ちがいいのは真夏の夜だということを発見しました。 そしてまだ熱気が残る夜道を屋根を開けて走りながら聴くのに最高なのは、また意外なことにジミ・ヘンドリックスでした。

ネットリとした夜気の中で車に巻き込む風を感じながら聴くジミヘンのギターとボーカルは、当時のロックに付きものの酒やドラッグやセックスを連想させ、そしてベトナム戦争が今でもまだ続いているかのような雰囲気さえ漂ってるような気がしてきます。 イギリスに渡ってジミ・ヘンドリックス・エクスペリエンスを結成してデビューした彼が出す音はブルースに根ざしたヘヴィーなロックで、やはりイギリスというよりアメリカのサイケデリックなイメージが相応しいように思いますね。 

このブログのテーマになっている70年代に入ってすぐに彼は死んでしまったので、今回の曲は前回取り上げたボブ・ディランが67年に発表した名曲のカバー、「オール・アロング・ザ・ウォッチタワー」です。 「ハリケーン」同様ロックなナンバーを絶妙のアレンジでカバーしたもので、あまりのカッコ良さに僕はしばらくジミヘンのオリジナルかと思ってました。 「見張塔からずっと」という邦題は直訳にもほどがある、と最初は思ったけどこれはこれで味があっていいのかもしれません。

早弾きだとか切れ味鋭いとか、いわゆるウマイとはちょっと違う彼のギターには何とも言えない気怠さのようなものが漂っていて、それが真夏の夜のオープンカーに合う理由じゃないかと思います。 オープンにしている時はあまりスピードを出す気にもならないし、ゆったりと流しながら聴くのが最高ですね。 ちなみに女性は髪がどうのとかすぐ文句を垂れたりするし大体ジミヘンなんかに興味ないので、一人の時に限ります。


エレクトリック・レディランド ジミ・ヘンドリックスエレクトリック・レディランド ジミ・ヘンドリックス
プロもたまげるプレイで60年代後半から70年まで、短くも激しく燃えた天才プレイヤーの3作目。 才能と引き替えにナイーブ過ぎたのか、本当に惜しい男を亡くしました。

「ハリケーン」 ボブ・ディラン 1976年

2008-10-05

名前はもちろん知っているし、有名な曲は何曲か聞いたことはあるけどその存在があまりに巨大すぎて手付かずのままになっているミュージシャンが何人かいて、その代表格が今回のボブ・ディランです。 高校時代までは名前だけは知っているけど食わず嫌いでレコードはもちろん聴いたことはなく、なんとなく小難しそうで取っ付きづらいイメージを持っていました。 初めて彼の歌をいいなと思ったのは大学に入ってからラジオで聴いた「 One More Cup of Coffee (Valley Below) 」です。

やっぱりフォークソングの大御所なんだなと思ったんですが、この曲が収められたアルバム「欲望」の一曲目は自分の持っていたイメージをくつがえす激しいナンバーで、根がロック好きの自分としては今聴いてもやっぱり体の中の熱いものが動き出すような名曲「ハリケーン」が印象に残ってます。 冤罪で投獄されたボクサー、ルービン・"ハリケーン"・カーターのことを歌ったこの曲は、デンゼル・ワシントン主演で1999年に映画化された「ザ・ハリケーン」のサウンド・トラックにも使われました。

あえてジャンル分けするならばフォークソングかなという「ハリケーン」には生ギターとヴァイオリン、ドラムスがメインのシンプルな構成で演奏されているにもかかわらず、心を揺り動かすような躍動感があります。 特にスカーレット・リベラのヴァイオリンが高揚感を与えてくれますが、この感じは個人的には紛れもなくロックですね。 力強く語りかけるようなボブ・ディランのボーカルが意味がよくわからなくても胸に染みるのは、この歌がプロテスト・ソングだからでしょうか。 今から改めてディラン制覇に挑むかどうか、思案したくなる名曲です。


欲望 ボブ・ディラン欲望 ボブ・ディラン
熱く激しいロックなナンバー「ハリケーン」と、ちょっと重たいフォーク「コーヒーもう一杯」。 対照的な曲ですがどちらもヴァイオリンの音色が効果的に雰囲気を盛り上げてくれます。

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プロフィール

Author:music70s
1957年生まれ。
福岡県在住です。

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