「クレイジー・ダイアモンド」 ピンク・フロイド 1975年

2010-09-21

狂ったダイアモンド。 冷たく硬く光り輝く美しいダイアモンド。 人を魅了する才能と背中合わせに自分でもコントロールできない狂気が見え隠れして、やがて繊細な人格を蝕んでいったとしたらなんだか切なくなりますね。 ピンク・フロイド初期のメンバー シド・バレットは、2006年に亡くなってしまいました。

傑作「狂気」を発表してから2年、「炎~あなたがここにいてほしい」も大ヒットを記録します。 壮大なスケールで聴くものを魅了した前作を凌ぐ作品を産み出そうとしたらこれはなかなか大変だったろうと思いますが、この後も「アニマルズ」、2枚組の大作「ザ・ウォール」と次々話題作をリリースし続けてピンク・フロイドは貫禄を見せてくれました。

だけど一緒にバンドを始めた仲間が壊れてゆくのを間近に見て、ついには音楽活動もままならない状態になっていったとしたら、彼らはどんな気持ちだったんでしょうね。 「クレイジー・ダイアモンド」はシドの代わりにバンドのメンバーとなったデヴィッド・ギルモアのギターの音が好きで気に入ってたんですが、この曲が書かれた背景について思いを巡らすといっそう胸に沁みてきます。

大好きな"Shine On You Crazy Diamond"というフレーズが出てくるまでにかなり時間がかかりますが、それまでリック・ライトのキーボードとデヴィッド・ギルモアのギターをじっくり楽しめばいいし、そもそも時間をかけて堪能するのがプログレの醍醐味ですから。

アルバムの最初を飾り最後を締めくくるこの曲がひとりの友人に捧げられたものならば感動的ですが、肝心の本人にそれが伝わっていたのかどうか。 ここを考えるとやっぱりなんだか切なくなりますね。


Wish You Were HereWish You Were Here ピンク・フロイド
名盤「狂気」の次の作品でプレッシャーもあったでしょうが、「あなたがここにいてくれたら」と「クレイジー・ダイアモンド」、この2曲だけでも個人的には大満足です。 ヒプノシスによるジャケットも印象的。

「旅の宿」 よしだたくろう 1972年

2010-09-07

先月放送された"ミュージックフェア"の中で、森山良子と矢野顕子のペアが「旅の宿」を歌っていました。 このベテランふたりはとても仲が良くて、「やもり」という誠に安直な名前のユニットでアルバムも発表しているんですが、ふたりによるとユニット名は適当に決めているのだそうです。

このあたりは流石に大御所、余裕を感じますがアルバムの中には「青春の光と影」や「白いブランコ」など僕たちの世代には懐かしい名曲が収められていて、「旅の宿」もその中の1曲なんですね。 番組で初めて聴いたけど森山良子はともかく矢野顕子の独特のボーカルがこの曲に相応しいのかどうか、これは好みが分かれるところです。

オリジナルのリリースは吉田拓郎(当時はよしだたくろう)がまさに絶頂期の1972年、僕が中学3年生の時です。 「結婚しようよ」ではオープンで明るい男女交際を歌ってフォークソングのイメージを変え、この曲では大人の男女の濃密でシックな関係を歌って歌謡曲や演歌にも通じる世界を垣間見せてくれて、「旅の宿」は思春期の男性にとってまさに夢のような世界です。

ところで歌詞の中にある"上弦の月"とは月の右側、東半分が輝いている状態だそうで、普通パッと頭に浮かぶ月の弓の部分が上にある状態とは違うのだ、と高校の同級生が話してたのを思い出しました。 その上弦の月を明かりを消した部屋からふたりで見るなんて、これはやっぱり大人の世界です。

シングルとアルバムのバージョンどちらもいいけれど、本格的な秋よりも猛烈な暑さがいくらか和らいで、朝晩ちょっとだけ涼しくなってきたこの季節に似合う曲だなと思います。


TAKURO THE BEST メッセージTAKURO THE BEST メッセージ
「春だったね」から始まってヒット曲満載、拓郎節全開のベスト。 当然のように収録されている「旅の宿」は、耳に馴染んだ素朴な味わいのシングル・バージョンです。

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プロフィール

Author:music70s
1957年生まれ。
福岡県在住です。

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